患者情報:
32歳、男性、パナマ人
受傷機転:
2022年8月21日、バスケットボールの試合中に、左足で踏み切ってジャンプした時に、左膝から断裂音を感じた。そのまま動けなくなり、病院へ搬送された。同日にMRI撮影を行い、以下の診断を得た。Lachman テストは陽性であった。
前十字靭帯断裂(断端が不明瞭(Iharaの分類Ⅳ))
受傷後の経過:
2022年9月13日より、当院のオンライン治療にてナチュラリゼーション療法を開始した。オンライン治療と自宅でのナチュラリゼーションを継続し、治療開始から4ヶ月後に再度MRI撮影を行った。
MRIの結果:
断裂した前十字靭帯は、緊張性を有していないが、その連続性は回復していた。大腿骨付着部付近の線維は細い形態であるが、以下末梢部分は十分な太さを有していた。(Iharaの治癒分類B)
考察:
本例の前十字靭帯断裂は、断端が不明瞭であり、自然治癒は難しいとされる切れ方であった。その予想に反し、受傷後5ヶ月後のMRIでは、その連続性を回復し、比較的良好な結果を得ることができた。その後、リハビリを重ね、日常生活を問題なく送れるまでに回復し、ジョギングなどの軽い運動は行えるようになった。
参考文献:
- Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi
- Filbay, Stephanie R et al. “Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol.” British journal of sports medicine, bjsports-202