患者情報:
日本人、女性、40歳
2022年11月12日、キックボクシングの練習中に飛び蹴りをし、左足で着地した際に、左膝をに捻った。 そして、その後も約1時間練習を続けた。 患者は膝が崩れる感覚を覚えた。 11月21日、患者は最初のMRIを受けたが、古いMRIで解像度が低く、診断に有効ではなかった。 12月6日、患者は3回目のMRIを新しいMRI撮影機で撮り、以下の診断を受けた。
前十字靭帯部分断裂
通常の日常生活を送ることにおいては、患者は何の問題も感じなかった。受傷後は、膝崩れ起こさなかった。 しかし、前方引き出しテストでは、膝に緩みが確認された。 そして、患者はキックボクシングの練習だけでなく、他のあらゆる運動も中止した。 それだけでなく、膝を完全に伸ばすこともしなかった。
12月7日より、当院のナチュラリゼーション療法をオンラインにて開始し、それを5週間続けた。そして、 2023年1月16日、3回目のMRI検査を行った。
MRIの評価:
部分断裂により弛んでいた線維は、その緊張を取り戻し、かつ、その直線性も回復させていた。
今後の展望と考察:
わずか5週間の治療期間にもかかわらず、損傷した前十字靱帯は十分な回復を示していた。 推測できる理由は、完全断裂ではなく部分断裂であったことである。 もう一つの理由は、損傷した靭帯が互いに離開していなかったことである。 適切な治療を行えば、前十字靱帯部分断裂は、早期に治癒していく可能性が高い。そして、完全断裂の場合よりも早期に通常の日常生活や、さらにはスポーツに復帰することができる可能性が高い。
参考文献:
- Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi
- Filbay, Stephanie R et al. “Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol.” British journal of sports medicine, bjsports-2023-106931. 14 Jun. 2023, doi:10.1136/bjsports-2023-106931