前十字靭帯断裂の変形治癒 ケース8

前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報:

55歳、女性、日本人

受傷機転:

 2022年3月7日、スキー中に転倒した際、右スキー板が雪に刺さったまま倒れこんだ。

受傷後の経過:

 事故した当日に救急病院へ運ばれ、X線撮影を行ったが骨折は無かった。翌日、地元の整形外科を受診し、関節穿刺によって関節液を抜かれた。3月15日にMRI撮影を行い、以下の診断を得た。

右膝前十字靭帯断裂(近位1/3での断裂、かつ断端同士が離れている。(Iharaの分類Ⅲ))

 2022年4月18日より、当院のナチュラリゼーション療法をオンラインで開始した。4ヶ月間、定期的にオンライン治療を受診し、8月17日に再度MRI撮影を行った。尚、この期間、機能的装具は装着していなかった。

 2回目のMRI検査では、断裂した前十字靭帯が癒合している様は確認できなった。しかしながら、脛骨側の断端が緊張していることから、本来の位置ではない箇所に癒合している可能性があった。その後もナチュラリゼーションを継続し、11月11日に3回目のMRI撮影を行った。

 3回目のMRI検査でも、断裂した前十字靭帯の自然治癒は明確には確認できなかった。しかしながら、矢状面と前額面の写真を総合的に精査すると、脛骨側の断端が大腿骨外顆内側面に癒合している判断した。その後、オンライン治療は中止し、PRP注射による再生医療を開始した。翌年の2023年8月31日に再度MRI撮影を行った。

 既に、大腿骨外顆内側面へ癒合していたことから、本来の位置へ自然治癒することは確認できなかった。

考察:

 本症例では、断裂した前十字靭帯が理想的な形態で自然治癒することは出来なかった。結果としは、大腿骨外顆内側面へ癒合という変形治癒であった。機能的には、関節は安定しており、患者曰く、日常生活には問題ないレベルまで回復した。患者へは、装具の装着を指示しなかったが、本症例以降、全ての患者へ装具装着を指示している。

参考文献:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.