前十字靭帯断裂の変形治癒 ケース7

前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報:

13歳、女性、日本人

受傷機転:

 2023年6月10日、バスケットボールの練習試合中に自力で転倒し、左膝を捻った。

受傷後の経過:

 6月12日にMRI撮影を行い、以下の診断を得た。

左膝前十靭帯断裂(断端同士が弛んでいる。(Iharaの分類Ⅱ))

 画像から新鮮外傷と確認できるが、二年前から膝が外れるたように感じたことが数回あった。しかし、直ぐにそのような症状は消失していた。今回の診察時に関節穿刺による関節液採取は行われなかった。受傷後、膝崩れは無かった。病院でのリハビリは受けず、当院のナチュラリゼーション療法を6月24日から開始した。当院のナチュラリゼーション療法を4ケ月間継続し、10月25日に再度MRI撮影を行った。

結果:

 二回目のMRI検査では、断裂した前十字靭帯の自然治癒は確認できなかった。

考察:

 本症例では、自然治癒は確認できず、更に、後十字靭帯等へ癒着による変形治癒も殆ど確認できなかった。十分に自然治癒可能な断裂形態にもかかわらず、自然治癒が成功しなかった理由は正確には分からないが、考えられる2つの理由を挙げる。一つは、低年齢女子の靭帯は、成人や同年代の男子に比べて自然治癒の成功率は低いという研究報告がある。二つ目は、通学時の移動手段の問題である。長距離の徒歩や自転車での通学を控える旨を伝えているが、家庭の事情により、送迎が出来ない場合がある。同症例の場合は、常に送迎が出来る環境ではなかった。今後、低年齢層の治癒率を向上させるために、治療法や生活環境に新たな工夫を施す必要性がある。

参考文献:

 

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