前十字靭帯断裂の自然治癒 – ナチュラリゼーション療法による手術しない治療 29例目レポート

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前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報:

41歳の日本人女性。2022年7月5日、バスケットボールの試合中に右足に力を入れた際に右膝が外れた感覚を経験し、動けなくなった。後に歩行可能になったが、事故の2日後に病院を受診。診察中に関節液は吸引されなかった。7月12日にMRIスキャンを受け、以下の診断を得た。

完全な右側前十字靱帯(ACL)損傷(上部1/3)
半月板損傷はなし。

IharaのACL損傷分類によれば、これは裂けて離れたタイプのタイプ2に分類される。負傷後、膝のぐらつきは報告されなかった。彼女は負傷後の膝伸展に関する物理療法を受けていなかった。13年前に左アキレス腱断裂の手術の既往歴があった。

7月28日から、当院のオンライン療法を開始し、5ヶ月間ナチュラリゼーション療法を続けた。そして、2022年12月12日に2回目のMRIスキャンが行われた。

MRIの評価:

MRI画像の評価から、断裂した前十字靭帯が連続性を回復し、自然に治癒していたことが示された。IharaのACL治癒分類によれば、これは細くなった治癒繊維であり、グレード3に分類される。

今後の展望と考察:

MRIにより自然治癒が確認できた後、膝関節の完全伸展トレーニングと筋力トレーニングを開始した。負傷後6ヶ月で、日常生活に問題がないレベルまで回復した。現在、レクリエーションレベルのスポーツに戻ることを目指して、さらなるリハビリを行っている。

参考文献:

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前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報:

37歳、女性、カザフスタン人で現在はアメリカに在住。
 2022年2月26日にスキー中に左膝を捻った。MRI撮影により以下の診断を得た。

前十字靭帯完全断裂

 このタイプの前十字靭帯断裂は、Iharaの損傷分類によれば破断または不明なタイプ4に分類され、自然治癒するのが最も難しいタイプとされている​​。

 患者は負傷後、理学療法士の下で筋力を強化するためのリハビリテーションエクササイズや10分間のエアロバイクなどを行っていた。その後、2022年4月29日に当院のオンライン治療を通じてナチュラリゼーション療法を開始し、2ヶ月間のオンライン治療を継続した。この期間中、彼女は全ての強化トレーニングを停止し、ナチュラリゼーション療法に集中していた。2ヶ月後には再び筋力強化トレーニングを開始し、2022年11月18日に2回目のMRI撮影を行った。

MRIの評価

 2022年11月18日に2回目のMRIを受けた結果、前十字靭帯の明瞭な連続性が示された。この治癒タイプはIharaの治癒分類のグレードIに分類され、引き締まった直線型の治癒形態とされている​​。

今後の展望と考察:

 このタイプの前十字靭帯断裂は、自然治癒するのが最も難しいとされているにもかかわらず、最良の治癒形態にまで治癒していた​。その後、患者はリハビリを重ね、半年後にはハーフマラソンを完走することが出来た。

参考文献:

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前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報:

25歳、男性、インド人
 2022年4月13日、サッカーの試合中に右膝を捻った。4月15日にMRI撮影を行い、診断結果は以下の通りであった。

前十字靭帯完全断裂
外側半月板の前根部の損傷
内側半月板の中節部の損傷
内側および外側側副靭帯の損傷

 5月24日、当院のオンライン治療を通じてナチュラリゼーション療法を開始した。患者は初月に4回のオンライン治療を行い、その後3ヶ月間は自身でナチュラリゼーション療法を続けた。そして、10月2日に2回目のMRIを撮った。

MRIの評価:

 完全断裂した前十字靭帯は連続性を回復し、直線的かつ太い線維へと変化していた。この治癒形態は、Iharaの治癒分類ではタイプ1に分類される。前十字靭帯が最良の形態で治癒していたが、半月板の損傷はさらに進行していた。

今後の展望と考察:

 半月板の水平裂については、多くの場合無症状であるが、損傷が進行することは好ましくない。当患者については、更なるリハビリを継続してもらい、経過観察をしていく。

参考文献:

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前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報と受傷機転:

44歳、男性、日本人
 2022年4月9日、柔道の練習の際、相手を投げようとしたときに、左膝を内側に捻じった。そのまま床に崩れ落ちて動けなくなった。その後、病院へ運ばれ、レントゲン撮影を行った。骨折の所見は無し。ラックマンテストは陽性であった。 膝崩れ現象あり。 4月19日にMRI検査を行い、診断は次のとおりであった。

前十字靭帯完全断裂
内側側副靭帯損傷

 患者は、手術を回避したく、代替の治療を探していたところ、当院の自然治癒療法に辿り着いた。2022年5月24日より、当院のオンライン治療を開始し、約6ケ月間継続した。そして、10月18日に2回目のMRI撮影を行った。

MRIの評価:

 断裂した前十字靭帯は連続性を示していた。 Iharaの治癒形態の分類では、グレードIIの「部分的薄化を有する直線線維」であった。担当医師は、断裂した前十字靭帯が自然治癒していると診断した。 内側側副靭帯における高信号は残存していた。

今後の展望と考察:

 上記の結果をふまえ、松本は、完全可動域訓練と筋力トレーニングを許可した。 11月17日、患者は酒に酔って歩行中に左膝を再び捻じってしまった。 幸い、前十字靭帯の再断裂は免れ、2週間程度で症状は回復していた。その後、日常生活動作は問題なく行えるようになったことから治療を終了し、その後のリハビリは患者自身で行っていくことになった。

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前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報と受傷機転

59歳、男性、日本人
 2021年12月28日、スキー中に右膝を負傷。 同日、病院に運ばれ、レントゲンで骨折はなかった。 2021年1月13日、MRI撮影を行い、次のように診断された。

前十字靭帯の完全断裂
内側半月板損傷とその転移半月の関節内嵌頓

 1月17日に半月板修復手術を受け、ギプスで膝を3週間固定した。 ギプス切除後の2月12日、当院を訪れ、前十靭帯断裂の自然治癒へ向けたナチュラリゼーション療法を開始した。対面およびオンライン治療を6ケ月間行い、自宅でも毎日ナチュラリゼーションを継続した。そてし、 8月4日、2回目のMRI撮影を行った。

MRIの評価:

前十靭帯の連続性が確認できる。

今後の展望と考察:

 当院では、半月板修復手術後に前十靭帯断裂の自然治癒療法を行い、自然治癒に成功した最初の症例です。 膝を3週間固定してたため、自然治癒は困難であると予想された。実際、固定による拘縮により、可動域の回復に通常の数倍の時間を要した。 しかしながら、私の予想に反して、断裂した前十字靭帯は、無事、自然治癒に成功しました。2回目のMRIで自然治癒が観察された後、スキーに復帰するために筋力トレーニングを開始した。 同年10月には、患者は、通常の日常生活を問題なく送れるまで回復していた。

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前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報と受傷機転

41歳、女性、アメリカ人
 2022 年 2 月 4 日、彼女は、スキー中に左膝を捻って負傷した。2 月 10 日に、彼女は MRI検査を行い、診断は次のとおりであった。

前十字靭帯完全断裂

 2022年2月27日から、当院の前十字靭帯断裂自然治癒療法のオンライン治療を開始した。 彼女は 4ケ月間ナチュラリゼーション療法を続け、2022 年 7 月 5 日に二回目の MRI撮影を行った。

MRI レポート

 わずかに浮腫の徴候が前十字靭帯で検出され、中外1/3 で厚さがわずかに減少しているように見える。 おそらく小包の裂傷と残留靭帯のわずかな浮腫の持続を伴う「緊張」であろう。 ただし、靭帯構造は、遠位挿入路の適度な周囲の滑膜肥厚と靭帯周囲の液体層とともに、その全過程に沿ってはっきりと見える。(原文)

今後の展望と考察

 上記のMRIレポートによると、断裂した前十字靭帯は自然治癒し始めている。しかしながら、治癒過程は継続中であり、それが完了するまでにはしばらく時間がかかると予想される。 2回目のMRI撮影後、松本は、彼女に膝の全可動域訓練と、大腿四頭筋の筋力トレーニングを許可した。 彼女は、まだ患側の膝に脱力感を感じているが、日常生活に問題はないレベルまで回復している。 彼女は、スキーに復帰する意思があり、今後も、ナチュラリゼーション療法と筋力トレーニングを継続していく予定である。

患者インタビュー動画

参考文献

Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi