患者情報と受傷機転:
44歳、男性、日本人
2022年4月9日、柔道の練習の際、相手を投げようとしたときに、左膝を内側に捻じった。そのまま床に崩れ落ちて動けなくなった。その後、病院へ運ばれ、レントゲン撮影を行った。骨折の所見は無し。ラックマンテストは陽性であった。 膝崩れ現象あり。 4月19日にMRI検査を行い、診断は次のとおりであった。
前十字靭帯完全断裂
内側側副靭帯損傷
患者は、手術を回避したく、代替の治療を探していたところ、当院の自然治癒療法に辿り着いた。2022年5月24日より、当院のオンライン治療を開始し、約6ケ月間継続した。そして、10月18日に2回目のMRI撮影を行った。
MRIの評価:
断裂した前十字靭帯は連続性を示していた。 Iharaの治癒形態の分類では、グレードIIの「部分的薄化を有する直線線維」であった。担当医師は、断裂した前十字靭帯が自然治癒していると診断した。 内側側副靭帯における高信号は残存していた。
今後の展望と考察:
上記の結果をふまえ、松本は、完全可動域訓練と筋力トレーニングを許可した。 11月17日、患者は酒に酔って歩行中に左膝を再び捻じってしまった。 幸い、前十字靭帯の再断裂は免れ、2週間程度で症状は回復していた。その後、日常生活動作は問題なく行えるようになったことから治療を終了し、その後のリハビリは患者自身で行っていくことになった。
参考文献:
- Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi