患者情報:
43歳、女性、日本人
受傷機転:
2023年1月4日、スキー滑走中に転倒し、左膝を内側に捻った。翌日、MRI撮影を行い以下の診断を得た。
左膝前十靭帯断裂(Ihara分類Ⅱ型)
左膝内側側副靭帯損傷

受傷後の経過:
受傷後、整形外科にて受診した際、ラックマンテストは陽性であった。また、関節穿刺によって関節血種を2回除去した。通院によるリハビリを2回受けたが、膝関節完全伸展は行わなかった。受傷から約1ケ月の2月3日から、当院の自然治癒療法をオンラインにて開始した。日常では装具を装着し、ナチュラリゼーション運動療法を4カ月間継続した。自然治癒療法開始から約4ケ月後、2回目のMRI撮影を行った。

MRIの結果:
当院が依頼した3名の画像診断医全員がACLOAS分類でScore 1(靭帯は連続しており形状も保たれているが、肥厚や高信号を伴う)と診断した。
その後の経過:
断裂していた前十字靭帯は、十分な太さと緊張度を伴った形で自然治癒したと判断した。これを受けて、患者には受傷前と同等の運動レベルへの復帰を目指し、さらなるリハビリテーション指導を行った。
考察:
本例の前十字靭帯断裂はIhara分類Ⅱと判定され、これはシンプルな完全断裂である。断端同士が近くあったため、治療結果も良好であったと推察される。
参考文献:
- Filbay, Stephanie R et al. “Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol.” British journal of sports medicine, bjsports-202
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Roemer FW, Frobell R, Lohmander LS, Niu J, Guermazi A. Anterior Cruciate Ligament OsteoArthritis Score (ACLOAS): Longitudinal MRI-based whole joint assessment of anterior cruciate ligament injury. Osteoarthritis Cartilage. 2014 May;22(5):668-82. doi: 10.1016/j.joca.2014.03.006.