このページでは、前十字靭帯(ACL)を完全断裂した36歳男性が、手術を行わずにナチュラリゼーション療法により自然治癒した症例をご紹介します。
患者情報:
- 年齢・性別:36歳・日本人男性
- 受傷日:2023年2月4日
- 受傷状況:スキー滑走中に転倒し、左膝をひねる
- 初期対応:レントゲン撮影、関節穿刺、応急装具処置
2023年2月7日にMRIを撮影し、前十字靭帯断裂と診断された。後に3名の画像診断専門医に再評価を依頼し、3名全員がIhara分類グレード4(断裂、水平配向、または不明瞭)と判定した。

治療内容:
- 治療開始日:2023年2月14日
- 装具使用:なし(初期から軽度屈曲位での歩行許可)
- 運動療法:ナチュラリゼーションを1日3回実施
- 治療期間:約4か月
徒手検査(2023年5月2日)
| テスト名 | 結果 |
|---|---|
| ラックマンテスト | ±(わずかに緩み) |
| ピボットシフトテスト | 陰性 |
| レバーアームテスト | 陰性 |
MRI再評価(2023年6月16日)
3名の画像診断専門医がACLOASスコアに基づいて評価を行った。
ACLOASスコア定義:
- スコア0:ACLは健常(形状・信号ともに正常)
- スコア1:靭帯が太くなっている、または靭帯内に高信号があるが、形状・連続性は正常
- スコア2:靭帯が細くなったり伸びたりしているが、連続性は保たれている
- スコア3:ACLが断裂し、連続性がない
本症例の評価結果:
- スコア1:2名
- スコア2:1名

考察:
Ihara分類グレード4という高度な断裂形態でありながら、ナチュラリゼーション療法の継続により靭帯断端の接近・治癒が促進された可能性がある。ACLOASスコア1が2名、スコア2が1名という評価結果と、臨床的な安定性の回復を踏まえると、本症例はACLの自然治癒が十分に達成された例であると考えられる。
✅まとめ
| 年齢・性別 | 36歳男性 |
| 損傷形態 | Ihara分類グレード4 |
| 治療方法 | 非手術(ナチュラリゼーション+装具なし) |
| 治療期間 | 約4か月 |
| MRI評価 | ACLOASスコア1(2名)、スコア2(1名) |
| 徒手評価 | ラックマン±、ピボット陰性、レバー陰性 |
| 結論 | 複雑な断裂でも自然治癒が可能であることを示した症例 |