ナチュラリゼーションとは

 ナチュラリゼーションとは、一つの生命の発達過程は、その先祖の進化の歴史を繰り返すという反復説に基づき、人間が本来持っているはずの自然な心と体を取り戻すために構築された運動発達理論です。現代人の多くは心や体に痛みを抱えながら生きています。その原因は、人間が文明を発達させ、自然や野生から遠く離れた生活を選んだからと言えるでしょう。人間の赤ちゃんが生きる環境も大人同様変化し、それが故に、十分な運動発達過程を経ないまま大人になる現象が起きています。現代人の抱える体の痛みや、怪我のしやすさの根本的原因は、乳幼児期での発達不良にあると言えるでしょう。野生環境で育たない限り、本当の意味での自然な運動発達は不可能ですが、自然発達のエッセンスを分析し、現代人にも十分行える運動メニューとして構築されたのがナチュラリゼーションです。運動発達は乳幼児期だけではなく、一生を終えるまで発達過程は続いていきます。年齢に関係無く、乳幼児期にやり残した運動メニューをやり直すことで、自然で健康な体を取り戻すことが期待できるでしょう。ナチュラリゼーションは、進化の歴史を復習するEVO.と、人間の赤ちゃんの発達過程を復習するクラシックの二つに分かれ、その両方を行うことで、発達が統合されていくという理論の上に成り立っています。

ナチュラリゼーションEVO.(系統発生)
 我々ヒトの起源は、約10億年前に原始的な多細胞生物として始まったと言われています。それからクラゲのような生物へと進化し、脊椎動物の直接の先祖とされる脊索動物が誕生したのは約5億年前と言われています。それから、魚、両生類へと進化し、地球環境の激変を生き延びながら、水中から陸への上陸劇を成し遂げていきました。それから、爬虫類的哺乳類(単弓類)、哺乳類、類人猿へと進化し、我々ホモ・サピエンスが誕生したのは約100万年前とされています。我々の先祖の歴史は現代人のDNAに刻み込まれています。ナチュラリゼーションEVO.では、その時代その時代の先祖の動きを運動メニューに落とし込み体現することで、10億年掛けてきた我々の進化の意味を体で感じることが出来るはずです。

ナチュラリゼーション・クラシック(個体発生)
 ヒトの生命は受精卵から始まり、母体内で十月十日間過ごした後に出産され、その後約80年間続きます。反復説では、この個体の一生涯に渡る発達過程は、その先祖の歴史を繰り返すと言われています。進化生物学の知見によれば、先祖の歴史において重要な形態や機能だけを引き継ぎ、歴史の時系列を多少変更しながら、ヒトの体を作るために最適な発達過程を自然は構築してきました。ナチュラリゼーション・クラシックでは、ヒトのDNAにプログラムされた発達運動を詳細に再復習していくことで、自然で健康に成熟した心身を取り戻すことを目的としています。

ナチュラリゼーションによって期待できる効果
・姿勢不良の改善
・慢性的な関節痛や筋肉の痛みの改善
・外傷からの治癒
・運動機能の向上
・内臓機能の向上
・発声機能の向上
・適切体重へのダイエット効果など