前十靭帯断裂で正常に自然治癒しなかった症例2

前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

患者情報と受傷機転

23歳、男性、日本人、アスリート

 2021年12月3日、カバディという競技の練習中に、左膝を捻った。同日に、病院でMRI検査を行い、以下のように診断された。

左膝前十字靭帯断裂

 患者は、海外のプロリーグに在籍しており、所属チームの理学療法士からは、4週間で復帰できると言われ、治療とリハビリを行っていた。練習に復帰したものの、痛みが治まらず、情報を検索しているうちに、当院の自然治癒療法に出会い、2022年1月10日よりオンライン治療を開始した。同年の2月に帰国後も、対面とオンラインの治療を重ね、自然治癒を目指した。3月1日に、二回目のMRI撮影を行った。

 MRIの画像診断では、自然治癒の傾向が見られるものの、はっきりとした靭帯の連続性は確認できなかった。帰国後は、競技の練習をせず、運動療法のみを行い、靭帯の回復を待った。2022年5月19日、三回目のMRI検査を行った。

 三回目のMRIの画像診断では、前回とほぼ同じく、はっきりとした靭帯の連続性は確認できなかった。徒手検査での、膝関節の動揺性は減少しており、前十字靭帯断端の後十字靭帯等への癒着が考えられた。

今後の展望と考察

 その後、競技復帰へ向けて、リハビリを継続したが、同年秋開催予定の国際大会が一年延期されたこともあり、患者は再建手術を選択した。

 前十字靭帯断裂の自然治癒が正常に起こらなかった明確な原因は明らかではないが、考えられる原因を2つ示す。一つは、在籍していた海外チームの治療スタッフの判断ミスである。前十字靭帯の完全断裂にも関わらず、4週間での復帰を目指し、練習を休ませなかったこと。2つ目は、当院のナチュラリゼーション療法開始から1週間で、劇的に症状が改善したことから、実践レベルの練習に参加し、そこで膝崩れを起こしてしまったこと。アスリートに練習を休んでもらい、治療に専念して貰うことは、困難な場合があるが、ここにアスリート治療の難しさと問題点があることを再認識させられたケースであった。

参考文献

Crain EH, Fithian DC, Paxton EW, Luetzow WF. Variation in anterior cruciate ligament scar pattern: does the scar pattern affect anterior laxity in anterior cruciate ligament-deficient knees? Arthroscopy. 2005 Jan;21(1):19-24. doi: 10.1016

Kittani M, Haviv B, Shemesh S, Yaari L, Yassin M, Rath-Wolfson L. Morphological and Histological Changes in the Human Anterior Cruciate Ligament after Rupture. Isr Med Assoc J. 2021 Jan;23(1):33-37.

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