子供の前十字靭帯断裂 自然治癒療法 ケース15

前十字靭帯断裂の自然治癒療法

前十字靭帯断裂自然治癒の症例集

12歳、男性、インド人
 2021年9月20日、レッグカールの筋力測定中に、医師の不注意によって右膝を負傷した。 10月4日にMRI撮影を行い、次のような診断を担当医師が下した。
前十字靭帯の完全断裂。 大腿骨付着部の断裂であった。後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯、半月板に損傷は無かった。

2021年10月22日から、当院のオンライン治療を開始した。ナチュラリゼーションと呼ばれる進化発生学に基づいた運動療法を約4ヶ月継続したのち、2022年3月2日に、再度、MRI画像を撮影した。

担当医師によるMRI画像診断を以下に示す。
前十字靭帯の大腿骨付着部に僅かに高信号が見られるが、連続性を保っている。線維の一部が、大腿骨外側顆内側面と癒着している。脛骨付着部では、前内側線維、後外側線維ともに連続性を保っている。

上記の診断結果により、変形治癒している箇所があるものの、断裂した前十靭帯の自然治癒が概ね始まっていることを確認した。今後は、運動強度を段階的に上げていき、彼の希望するテニス競技への復帰を目指していくことになった。

当院の前十字靭帯断裂の自然治癒療法の症例では、この12歳というケースが最年少です。(2022年3月末時点)小児期の前十字靭帯断裂患者への再建手術は、骨の成長を妨げるリスクがあるため、回避される傾向が高いのが現実です。 そのため、小児の前十靭帯断裂に対しては、現在のところ、有効な治療法がありません。治療法も無く、骨の成長が止まるまで激しいスポーツを禁止される子供たちの多くは絶望してきました。今後は、小児の前十字靭帯断裂の自然治癒症例数を蓄積していき、ナチュラリゼーション療法の有効性を示していきたいと願っています。

参考文献

Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください