ジムでのジャンプ着地で左膝を受傷。3名の専門医による合議制ルールのもと、初診MRI診断では最も重度なIhara分類4型(断端不明瞭)と判定。オンラインでナチュラリゼーション療法を開始。徹底した環境管理(30-120度制限)とアライメント管理、運動療法を継続した結果、最終MRIではACLOASグレード1(良好な形状と連続性の保持)という高品質な自然治癒を達成した。
前十字靭帯断裂の自然治癒療法 / 前十字靭帯自然治癒の症例集/Facebookグループ
患者情報
- 年齢・国籍:42歳・ルーマニア人女性
- 受傷側:左膝
受傷機転
- 受傷日:2023年4月24日
- 状況:ジムでのエクササイズ中、ジャンプ台の着地衝撃により左膝を負傷。受傷直後に膝崩れを確認。当日に膝伸展動作を行ったが、以降は理学療法を行わず管理を開始した。

初期評価(MRI①)
- 撮影日:2023年5月10日
- 画像診断:独立した3名の画像診断専門医に読影を依頼し、意見が分かれた場合は合議により評価を決定するルールを適用
- Ihara分類:合議の結果、Ⅳ(Type 4)と判定(最も複雑な完全断裂)
- 備考:受傷後、理学療法などは一切行わず、ナチュラリゼーションによる管理に専念した。
〖Ihara分類 注釈〗
I=直線的断裂/II=湾曲した断裂/III=断端の変位を伴う断裂/IV=断端が不明瞭・形態不良
初期方針・治療開始
- 開始日:2023年5月10日
- 形態:松本じゅん接骨院のオンライン治療にてナチュラリゼーション療法を開始
- 装具管理:装具を装着し、膝伸展 30〜120°の制限を管理
- 活動制限:歩行≤3,000歩/日 を厳守
- 自主運動:ナチュラリゼーション(進化発達運動)を 1日3回

最終評価(MRI②)
- 撮影日:2023年9月23日
- 評価:3名の独立した画像診断専門医による合議を実施
- ACLOAS判定:合議の結果、1(Grade 1:良好な形状と連続性の保持)と判定
- 復帰状況:日常生活に完全復帰し、良好な安定性を獲得している。
〖ACLOAS native ACL分類 注釈〗
0=正常/1=肥厚や高信号を伴うが形状・連続性は保持(良好)/2=菲薄化・伸長があるが連続性保持/3=連続性消失
考察(筆者の感想)
- 本症例において、Ihara分類4型という極めてシビアな完全断裂の状態から、ACLOASグレード1という高品質な再生を達成できたことは、適切な環境管理(30-120度制限と低歩数管理)の正しさを裏付けている。
- ルーマニア在住という遠隔地からのオンライン指導であったが、患者自身が進化発達運動の原則を忠実に守り、膝への不適切な負荷を避けたことが高品質な再生を導いた要因と推察される。
- 理学療法も行わずにこれだけの連続性を得られたことは、海外の患者にとっても大きな希望となる。
結果
- 初期:Ihara Ⅳ(合議の結果、最も重度な完全断裂と確定)
- 最終:ACLOAS 1(合議の結果、良好な形状と連続性の保持と確定)
まとめ
- 受傷(2023/04/24):ジムでのジャンプ着地衝撃により左膝ACL完全断裂。
- 高品質な再生:Ihara Ⅳというシビアな状態からACLOAS 1への回復を達成。
- 客観的証明:3名の画像診断専門医が合議制ルールのもとで下した評価は、ナチュラリゼーション療法の可能性を学術的に示す貴重な一例である。
参考文献
- Filbay SR, et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med. 2023.
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017.
- Roemer FW, et al. Anterior Cruciate Ligament OsteoArthritis Score (ACLOAS). Osteoarthritis Cartilage. 2014.


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