バドミントンのプレー中に左膝を受傷。3名の専門医による初診MRI診断では全員がIhara分類3型(断端の変位)と判定。オンラインでナチュラリゼーション療法を開始。初期は仕事の都合で装具装着を拒否し一時「靭帯のたるみ」が生じるも、その後の厳格な装具管理と運動療法により、最終MRIでは3名全員がACL-OAS 1型(良好な自然治癒)と判定。ラックマンテストも陰性となり、高い質での靭帯再生が確認された。
前十字靭帯断裂の自然治癒療法 / 前十字靭帯自然治癒の症例集
患者情報
- 年齢・国籍:32歳・日本人男性
- 受傷側:左膝
受傷機転
- 受傷日:2023年5月2日
- 状況:バドミントンのプレー中に左足で踏み込み、体を切り返した際に左膝を捻転して受傷

初期評価(MRI①)
- 撮影日:2023年5月3日
- 臨床所見:ラックマンテスト陽性、膝崩れなし
- 画像診断:3名の独立した画像診断専門医に診断を依頼
- Ihara分類:3名全員が Ⅲ(Type 3)と判定(完全断裂)
- 備考:当初は病院で膝の完全伸展を含む一般的な理学療法を行っていた
〖Ihara分類 注釈〗
I=直線的断裂/II=湾曲した断裂(単純完全断裂)/III=断端の変位を伴う断裂/IV=断端が不明瞭・形態不良(最も複雑)
初期方針・治療開始
- 開始日:2023年5月17日
- 形態:松本じゅん接骨院のオンライン治療にて ナチュラリゼーション療法 を開始
- 装具管理:膝伸展 0〜30°の制限を指導したが、仕事上の理由により当初は装具装着を拒否
- 活動制限:歩行≤3,000歩/日 を許可
- 自主運動:ナチュラリゼーションを 1日3回

2回目のMRI(約3か月後)
- 撮影日:2023年8月下旬(治療開始3か月後)
- 所見:靭帯の自然治癒(連続性)は確認できるが、靭帯に「たるみ」が観察された
- 臨床所見:ラックマンテスト陰性
- 方針変更:靭帯の安定性を高めるため、装具装着を強く指示し、0〜30°の伸展運動を物理的に制限


3回目のMRI(最終評価)
- 撮影日:2023年12月6日
- 所見:以前認められた「たるみ」が消失し、良好な緊張を取り戻した靭帯を確認
- 評価:3名の独立した画像診断専門医により、3名中3名全員が ACL-OS 1型(良好な自然治癒)と判定
- 臨床所見:ラックマンテスト陰性
〖ACLOAS(native 前十字靭帯)注釈〗
0=正常/1=肥厚や高信号を伴うが形状・連続性は保持(良好)/2=菲薄化・伸長があるが連続性保持/3=連続性消失
その後の指導管理
- 最終MRIで高品質な自然治癒を確認後、完全可動域訓練と筋力トレーニングを許可
- 経過:膝の安定性は極めて良好。現在はスポーツ復帰に向けたリハビリ段階へ移行
結果
- 初期:Ihara Ⅲ(専門医3名一致)
- 中期:連続性回復を確認するも、初期の装具未装着により「たるみ」残存
- 最終:ACLOAS 1(専門医3名一致)=良好な自然治癒を回復
まとめ
- 受傷(2023/05/02):バドミントン中の捻転で左膝ACL完全断裂
- 管理の重要性:初期に伸展制限装具を装着できなかったことで一時「たるみ」が生じたが、その後の厳格な制限とナチュラリゼーション運動療法の継続により、緊張のある正常に近い靭帯形態を再生できた
- 客観的証明:受傷時および最終評価において、独立した3名の画像診断専門医による一致した評価(Ihara Ⅲ → ACLOAS 1)を得た、学術的にも精度の高い治癒例である
参考文献
- Filbay SR, et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med. 2023.
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017.
- Roemer FW, et al. Anterior Cruciate Ligament OsteoArthritis Score (ACLOAS). Osteoarthritis Cartilage. 2014.


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