このページでは、スキー中に左膝の前十字靭帯を完全断裂した「オランダ在住・ギリシャ人・50歳女性」の症例(症例43)をご紹介します。手術は行わず、ナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)で靭帯の連続性を回復し、最終的にACLOASスコア1の良好な治癒所見を得ました。
前十字靭帯断裂の自然治癒療法 / 前十字靭帯自然治癒の症例集
患者情報:
- 属性:オランダ在住・ギリシャ人・女性・50歳
- 受傷日:2023年3月2日
- 受傷機転:スキーのリフト降車時、スキー板が交差し着地。膝が「八の字(外反)」となり、左膝を捻挫。スノーモービルでホテルへ搬送。
- 初期対応:受傷約3時間後に病院受診。レントゲンで骨折なし。徒手検査ではラックマンテスト陽性。
初期評価と方針:
- MRI(初回):2023年3月22日撮影。現地レポートは「左膝・前十字靭帯損傷。部分断裂の可能性あり」。
- 外来理学療法(現地):3月2日〜3月17日まで、レッグプレス、膝関節伸展運動、ジャンプ、階段昇降などを実施。
- 治療切替:2023年3月17日より松本じゅん接骨院オンラインでナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)へ移行。現地の理学療法(膝完全伸展やジャンプ等)は中止。
治療内容:
- 装具管理:膝装具を3か月間装着。0–30°の伸展制限を設定(完全伸展を避ける)。
- 活動制限:歩行は1日1,000歩以内。
- 運動療法:自宅で1日3回のナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)。
- 後期リハ:3か月後に装具を除去し、可動域(完全伸展)と筋力強化を段階的に再導入。
MRI診断(初回)とIhara分類:
初回MRI画像を3名の独立した画像診断専門医が再評価し、Ihara分類は「2名がⅡ型、1名がⅢ型」でした。
【Ihara分類 注釈】Ⅰ=直線的な断裂/Ⅱ=湾曲した断裂(単純完全断裂に相当)/Ⅲ=断端の変位を伴う断裂/Ⅳ=断端が不明瞭な断裂

MRI再評価(約3か月後)とACLOAS:
ナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)を3か月実施後に再度MRIを撮影。3名の診断医すべてがACLOAS(native 前十字靭帯)で「スコア1」と判定しました。
【ACLOAS(native 前十字靭帯)注釈】0=正常(低信号・規則的)/1=肥厚や高信号を伴うが形状・連続性は正常/2=菲薄化・伸長はあるが連続性保持/3=欠損し連続性消失

臨床経過:
治療移行前は膝完全伸展運動やジャンプ・階段昇降などが行われていたため、当初は症状悪化の懸念があった。しかし、伸展制限・装具管理・ナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)の併用により、画像上は最高レベルの自然治癒所見(ACLOAS1)を獲得。日常生活動作は問題なく、主観的安定性も改善した。
考察:
本症例は、Ihara分類Ⅱ型(単純完全断裂)優位という切れ方と、受傷後比較的早期の治療移行が奏功し、ACLOAS1という良好な治癒ゴールに到達したと考えられる。受傷初期の「完全伸展を含む運動」や高負荷(レッグプレス、ジャンプ、階段昇降など)は断端接近を阻害し得るが、早期に伸展制限(0–30°)と装具管理へ切替え、ナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)を継続したことが、靭帯の連続性回復に有利に働いた可能性が高い。
まとめ:
- オランダ在住・ギリシャ人・50歳女性の左膝前十字靭帯完全断裂症例。
- Ihara分類はⅡ型2名/Ⅲ型1名。切れ方は「単純完全断裂」優位。
- 伸展制限(0–30°)+装具管理+ナチュラリーゼーション療法(Evo-Devo発達運動)を3か月継続。
- 再MRIでは全員がACLOASスコア1と判定=最高レベルの自然治癒所見。
参考文献:
- Filbay SR et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med.
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr.
- Roemer FW et al. ACLOAS: Longitudinal MRI-based whole joint assessment of ACL injury. Osteoarthritis Cartilage.


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