症例44|前十字靭帯断裂から太く強い靭帯へ自然治癒|松本じゅん接骨院

このページでは、ボルダリング中の着地で右膝の前十字靭帯を完全断裂した「インドネシア人・カナダ在住・33歳女性」の症例(症例44)をご紹介します。手術は行わず、ナチュラリーゼーション療法(進化発達運動)によって靭帯の連続性を回復し、追跡の画像検査で良好な所見を得ました。

前十字靭帯断裂の自然治癒療法前十字靭帯自然治癒の症例集

患者情報:

  • 属性:インドネシア人・カナダ在住・女性・33歳
  • 受傷日:2022年11月19日
  • 受傷機転:ボルダリングの着地で右膝をねじり受傷
  • 初期評価:病院受診。徒手検査でラックマンテスト陽性

初期評価と方針転換:

  • 画像検査(初回):2023年1月8日。独立した画像診断専門医3名の再読影で、Ihara分類は全員がⅡ型(=完全断裂だが、帯状繊維が湾曲しつつ連続)。
  • 方針転換:2023年1月6日より松本じゅん接骨院のオンラインでナチュラリーゼーション療法へ移行。従来のリハビリ(膝完全伸展を含むスクワット等)は中止。

【Ihara分類 注釈】Ⅰ=直線的な断裂/Ⅱ=湾曲した断裂(単純完全断裂)/Ⅲ=断端の変位を伴う断裂/Ⅳ=断端が不明瞭な断裂

初期3か月の管理(装具・活動):

  • 装具管理:装具を3か月間装着し、膝角度を30–120度に制限(完全伸展0度付近を回避)。
  • 活動制限:歩行は1日3,000歩以内
  • 運動療法:自宅でナチュラリーゼーション療法を継続。

後期リハビリ(段階的再導入):

約3か月の自然回復フェーズを確保したのち、痛み・腫脹・不安定感の軽減を確認してから、膝の完全伸展を含む可動域訓練とスクワット等の荷重トレーニングを段階的に再開(クォーター → ハーフ → フルの順に深さと負荷を調整)。体幹・股関節の協調と外反・ねじれ制御を優先した。

画像再評価(追跡):

  • 撮影日:2023年8月8日
  • 所見:独立した画像診断専門医3名全員がACLOAS 1と判定(=靭帯がやや厚く、靭帯内に高信号を伴うが、形状と連続性は正常)。

【ACLOAS(native 前十字靭帯)注釈】0=正常(低信号・規則的)/1=肥厚や靭帯内の高信号を伴うが、形状・連続性は正常/2=菲薄化・伸長があるが連続性保持/3=欠損し連続性消失

考察:

本症例は、初回所見がIharaⅡ型(単純完全断裂で連続性を保ちやすい)であった点、そして早期に進化発達練習へ一本化し、30–120度の角度制限+歩行3,000歩内+装具管理断端の接近と安定を優先した点が、連続性の回復に有利に働いたと考えられる。自然回復フェーズの後に完全伸展とスクワットを段階的に再導入したことで、組織ストレスを管理しつつ機能回復を仕上げられた。

まとめ:

  • ボルダリング着地で右膝前十字靭帯を完全断裂(ラックマン陽性)。
  • 初回画像はIharaⅡ型(3名一致)湾曲しつつ連続
  • 進化発達練習へ切替え、装具で30–120度に3か月制限歩行3,000歩以内で負荷管理。
  • 約3か月後に完全伸展・スクワットを段階的に再導入
  • 追跡画像では全員がACLOAS 1と判定=形状・連続性が正常

参考文献:

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