このページでは、スキー中に左膝前十字靭帯(ACL)を完全断裂した42歳シンガポール人女性が、手術を選ばずにナチュラリーゼーション療法により自然癒合を目指した症例をご紹介します。
患者情報:
- 年齢・性別・国籍:42歳・女性・シンガポール人
- 受傷日:2022年12月11日
- 受傷状況:日本でスキー中、こぶの上でつまづいて左膝を捻り受傷
- 初診日:2022年12月13日(レントゲン異常なし・ラックマンテスト陰性)
- MRI撮影日(初回):2022年12月22日
- 診断名:左膝前十字靭帯完全断裂
治療内容:
- 開始日:2022年12月27日
- 治療法:ナチュラリーゼーション療法(オンライン)
- 装具:伸展制限0–30度の制限付きで装着
- 活動制限:1日3,000歩以内の歩行
- 頻度:1日3回、自宅で実施
- 治療期間:約5か月半
MRI診断(治療前):2022年12月22日
3名の独立した画像診断専門医がIhara分類に基づき評価。
- Ihara分類:2名がⅢ型(完全断裂、断端の転移)、1名がⅡ型(完全断裂、断端の転移なし)

MRI再評価:2023年6月1日
3名の画像診断専門医がACLOASスコアに基づいて再評価を実施。
ACLOASスコア定義:
- スコア0:正常な靭帯。低信号強度で形状・太さ・連続性ともに正常
- スコア1:靭帯が厚い/高信号を含むが、形状と連続性は保たれている
- スコア2:靭帯が細く/伸びているが、連続性は保たれている
- スコア3:靭帯が欠損し、連続性が失われている
本症例の再評価結果:
- ACLOASスコア:3名すべてがスコア1(連続性あり・厚い)と評価

考察:
本症例では、受傷後に一度は膝伸展運動を含むリハビリが実施されていたが、その後すぐに伸展制限を伴うナチュラリーゼーション療法へ移行した。治療前のMRI評価では変位ありとされたACL断裂が、治療約5か月後には3名すべてがスコア1(連続性あり・太い)と評価。これは前十字靭帯が自然癒合し、構造的連続性を取り戻した可能性を示唆している。2024年1月、ランニング中に足を踏み外し、左膝に強い衝撃を感じた。再断裂した可能性が高いが、MRI撮影は行わなかった。症状が安定後、リハビリを開始し、日常生活では問題ないレベルまで回復した。レクレーションレベルのスキーやハイキングを行えるようになった。
参考文献:
- Filbay SR et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med.
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr.
- Roemer FW et al. ACLOAS: Longitudinal MRI-based whole joint assessment of ACL injury. Osteoarthritis Cartilage.


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