患者情報:
33歳、男性、マレーシア人
受傷機転:
2022年7月21日、患者はバドミントンのプレー中に、 目の前に落ちたシャトルを拾おうと右足を前に出したところ、右側に倒れた。 同日中に病院に行ったが、すぐにはMRI検査を受けられなかった。 膝関節穿刺検査は行われなかった。 その後、患者は数回鍼治療を受け、膝の完全伸展を含む2週間の理学療法を受けた。 9月8日にMRI検査を受け、次のように診断された。
前十字靭帯完全断裂
(近位部が断裂し、I型に分類され、断裂端が向かい合った状態)
内側側副靭帯捻挫
外側半月板断裂
2022年9月17日から、当院のオンラインでのナチュラリゼーション治療を開始した。可動域を制限する機能性膝装具を装着せずに3か月間継続した。 2023年5月9日、2回目のMRI検査を受けた。
考察:
このタイプの前十字靭帯断裂は、自然治癒し易いにもかかわらず、期待された結果は得られなかった。 失敗に至った原因を 3 つ挙げる。 1つ目は、彼が機能的な装具を着用していなかったということ。 次に、治療開始が受傷から2か月後と少し遅かったこと。 第三に、治療開始前に膝を完全伸展させる理学療法を実施したこと。 今回の失敗を踏まえて、今後の治療計画を再検討していく。
参考文献:
- Ihara H, Miwa M, Deya K, Torisu K. MRI of anterior cruciate ligament healing. J Comput Assist Tomogr. 1996 Mar-Apr;20(2):317-21. doi
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Pitsillides A, Stasinopoulos D, Giannakou K. Healing potential of the anterior cruciate ligament in terms of fiber continuity after a complete rupture: A systematic review. J Bodyw Mov Ther. 2021 Oct;28:246-254. doi
- Filbay, Stephanie R et al. “Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol.” British journal of sports medicine, bjsports-2023-106931. 14 Jun. 2023, doi:10.1136/bjsports-2023-106931