症例52|前十字靭帯断裂の自然治癒|イタリア人サッカー選手

サッカーのターン動作で右膝を受傷。3名の専門医による合議制ルールのもと、初診MRIではIhara分類3型(断端の変位を伴う断裂)と判定。オンラインでナチュラリゼーション療法を開始し、1日3000歩の厳格な歩数制限と30-120度の可動域管理を徹底した。その結果、4ヶ月後の最終MRIでは、3名全員がACLOASグレード1と一致する高品質な自然治癒を達成した。

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患者情報

  • 年齢・国籍:27歳・イタリア人男性
  • 受傷側:右膝

受傷機転

  • 受傷日:2023年4月17日
  • 状況:サッカーのプレー中に右膝を負傷。左方向へのターン時に膝を内側へ捻った。その後MRIでACL断裂と診断。当初は現地の理学療法(PT)で大腿四頭筋の筋トレを行っていた。しかし、自然治癒を目指して当院へ相談した。
ACL断裂初期MRI

初期評価(MRI①)

  • 撮影日:2023年5月12日
  • 画像診断:独立した3名の画像診断専門医に読影を依頼(各判定:Ihara 2, 3, 3)
  • Ihara分類:合議の結果、Ⅲ(Type 3)と判定(断端の変位を伴う断裂)
  • 備考:靭帯の癒合を優先するため、初期段階のリハビリ訓練は一旦中止した。

〖Ihara分類 注釈〗

I=直線的断裂/II=湾曲した断裂/III=断端の変位を伴う断裂/IV=断端が不明瞭・形態不良

初期方針・治療開始

  • 開始日:2023年5月22日
  • 形態:オンライン治療にてナチュラリゼーション療法を開始した。
  • 装具管理:装具を装着。膝伸展を30〜120°の範囲に厳密に制限した。
  • 活動制限:歩行を1日3000歩までに厳守。低負荷管理を徹底した。
  • 自主運動:進化発達運動を1日3回、4ヶ月間継続した。
ACL再生MRI1
ACL再生MRI2

最終評価(MRI②)

  • 撮影日:2023年9月21日
  • 評価:同じ3名の専門医が再度読影を実施(各判定:ACLOAS 1, 1, 1)
  • ACLOAS判定:合議の結果、1(良好な形状と連続性の保持)と判定した。
  • 復帰状況:日常生活に完全復帰した。膝の不安定感はなく良好な経過である。

〖ACLOAS native ACL分類 注釈〗

0=正常/1=肥厚や高信号を伴うが形状・連続性は保持(良好)/2=菲薄化・伸長があるが連続性保持/3=連続性消失

考察

  • 本症例は、初期診断で意見が分かれた難解なケースであった。しかし、最終的には専門医全員が「グレード1」の評価で一致した。
  • まず成功の要因として、1日3000歩の制限を完遂した点が挙げられる。27歳の活動的な若年層において、この忍耐が良好な組織治癒を導いた。
  • さらに、一般的なリハビリを中断した判断も重要であった。靭帯の癒合を最優先する環境を作った結果、高品質な再生が実現した。

結果

  • 初期:Ihara Ⅲ(断端変位を伴う断裂と確定)
  • 最終:ACLOAS 1(3名全員が良好な連続性と判定)

まとめ

  • 受傷:サッカーのターン動作で右膝ACLを断裂。
  • 管理:1日3000歩制限を4ヶ月継続した。
  • 意義:合議制判定により、ナチュラリゼーションによる再生が客観的に証明された。

参考文献

  1. Filbay SR, et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med. 2023.
  2. Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017.
  3. Roemer FW, et al. Anterior Cruciate Ligament OsteoArthritis Score (ACLOAS). Osteoarthritis Cartilage. 2014.

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