このページでは、前十字靭帯(ACL)を完全断裂した49歳女性が、手術を行わずにナチュラリゼーション療法により自然治癒した症例をご紹介します。
患者情報:
2023年3月6日、マーシャルアーツのジャンプキックを行った際、左膝に断裂音を感じ、着地時に転倒。3月17日にMRI撮影を実施し、以下の所見が得られた。
- 前十字靭帯断裂(Ihara分類グレードⅣ、不明瞭な断端)
- 内側側副靭帯損傷

受傷後、理学療法士の指導により膝伸展運動を数セッション実施。約10日間にわたり膝崩れを経験。3月28日より松本じゅん接骨院のオンライン治療にてナチュラリゼーション療法を開始。装具は装着せず、1日3,000歩以内での歩行を許可。4月に日本へ旅行した際は車椅子を利用し、歩行を最小限に制限した。

ACLOASスコア評価:
スコア2(後外側線維は癒合/前内側線維は未癒合)
考察:
本症例は、Ihara分類グレードⅣのような高度断裂で、断端がモップ状となっており、自然治癒が困難とされる形態であった。初期に適切な運動制限ができず、装具も用いなかった点も癒合に影響した可能性がある。その後のインタビューでは、日常生活に支障はないが、高強度な運動やピボット動作では膝の不安定性を感じていた。十分な機能回復と筋力強化には1年以上のリハビリが必要であった。
参考文献:
- Filbay SR et al. Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol. Br J Sports Med.
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the ACL Based on MRI Assessment. J Comput Assist Tomogr.
- Roemer FW et al. ACLOAS: Longitudinal MRI-based whole joint assessment of ACL injury. Osteoarthritis Cartilage.