患者情報:
30歳、男性、中国系オーストラリア人
受傷機転:
2023年2月19日、スキーで滑走中に左膝を捻った。その後、病院でX線撮影するも異常なし。3月2日にMRI撮影を行い以下の診断を得た。
前十字靭帯断裂(単純完全断裂(Iharaの分類Ⅱ))
受傷後の経過:
受傷後、1日だけ装具を着用し、その後は膝伸展運動を含むリハビリテーションを行った。3月10日より、当院のオンライン治療を開始し、ナチュラリーゼーション運動療法を1日3回、2カ月間行った。その間は、他のリハビリテーション運動は一切禁止した。5月4日、2回目のMRI撮影を行った。
MRIの結果:
断裂した前十字靭帯は、その連続性を十分な太さをもって回復していた。(ACLOASスコア1)
考察:
患者の意思により、治療開始から2カ月目という早い時期でのMRI撮影であったが、十分な前十字靭帯の連続性を確認できた。本症例は、前十字靭帯の断裂タイプⅡという単純完全断裂であった事が早期治癒の要因と考えられる。医師の指示により、膝完全伸展を含むリハビリテーションを行っていたが、本症例では、自然治癒に対して悪影響は見られなかった。
参考文献:
- Filbay, Stephanie R et al. “Healing of acute anterior cruciate ligament rupture on MRI and outcomes following non-surgical management with the Cross Bracing Protocol.” British journal of sports medicine, bjsports-202
- Ihara H, Kawano T. Influence of Age on Healing Capacity of Acute Tears of the Anterior Cruciate Ligament Based on Magnetic Resonance Imaging Assessment. J Comput Assist Tomogr. 2017 Mar/Apr;41(2):206-211. doi
- Roemer FW, Frobell R, Lohmander LS, Niu J, Guermazi A. Anterior Cruciate Ligament OsteoArthritis Score (ACLOAS): Longitudinal MRI-based whole joint assessment of anterior cruciate ligament injury. Osteoarthritis Cartilage. 2014 May;22(5):668-82. doi: 10.1016/j.joca.2014.03.006.